Chapter 6
Empress サーバー


6.1 はじめに

この章ではEmpress サーバーについて説明します。 Empress サーバーは、Empress リプレケーションマスターサーバーと Empress コネクティビティ(ODBC)サーバーのことであり、 コンフィグレーションファイルの設定および 以降で説明するempsvadmユーティリティの使用で サーバーの管理をします。 また、以降で説明するempsvlogstatユーティリティは、 Empress サーバーによって実行されたオペレーションの履歴から ログファイル解析を行います

Empressサーバーは、1つのスプーラー、1つの管理サーバーと 1つ以上のサービスサーバーの構成要素を含んでいます。

スプーラーは、他の構成要素の生成と制御のためのコントローラに なります。 Empressサーバーの実行は、Empressサーバー管理ユーティリティ (empsvadm) を通して送られるリクエストによって制御されます。 Empressサーバーは、クライアントからのリクエストを取得します。 管理リクエストは、管理サーバーによって扱われ、 サービスリクエストはスプーラーを通して、 1つのサービスサーバーに渡されます。 ユーザーがコンフィグレーションしたサービスサーバーの数だけ Empressサーバーのスプーラーによって制御されます。

Empressサーバーのクライアントは、スプーラー、管理サーバー、サービスサーバー について知る必要はなく、単にEmpressサーバーとして参照することができます。

図 6-1 Empressサーバーの構成要素

                      スプーラー
                          |
                          |
                          |
      ____________________|____________________  ....
     |      |          |          |
     |      |          |          |
  管理   サービス    サービス    サービス        ....
サーバー サーバー1   サーバー2   サーバー3

クライアントはネットワークを通じてアクセスすることから Empress サーバーは、リモートマシン上で稼動していると 仮定することができます。 したがって、クライアントとサーバー間の接続を保証するため、 いくつかのハンドシェイクを行っています。 以下は例としてどのように Empressサーバーと そのクライアントが互いに ハンドシェイクをしているかを示した図です。

図 6-2 Empressサーバーとそのクライアントのハンドシェイクとタイムアウト
Handshaking of Empress Server and 
its Client

[図 6-2 Empressサーバーとそのクライアントのハンドシェイクとタイムアウト], を見ると、クライアントは"Start Connection"シグナルをサーバーに送り、 サーバーは"Accept"シグナルで応答します。 クライアントはそれから"Open Connection"を要求し、 サーバーは"Open Success"シグナルで応答します。 これらのシグナル送受信とコネクションの確立の後に、 クライアントは"Requests"を送ることを開始し、 サーバーはこれらのリクエストに対し"Responds"で応答します。 それぞれの要求と応答の間で クライアントが、サーバーからの応答を待つ間が予期された時間以上である 場合にいくつかのタイムアウトが設定されていることに注意してください。 クライアントにサーバーによって"Open Success" が送られた時から クライアントがその"Requests"を送ることを開始した間もまた タイムアウトになります。 これらのタイムアウトは、 [ネットワークコンフィグレーション] に説明されています。

6.2 Empress サーバー管理ユーティリティ

Empress サーバー管理ユーティリティは、empsvadmと呼ばれ、 このユーティリティは、Empressサーバーの開始、終了と管理を行います。 このユーティリティは、 Empress リプリケーションマスターサーバーと Empress コネクティビティ(ODBC)サーバーが含まれ、 Empressサーバーを管理するために使用されます。 このユーティリティはまた、Empressデータベースサーバーを管理するためにも 使用されます。このマニュアルでは、リプリケーションマスターサーバーと コネクティビティ(ODBC)サーバーのコマンドの使用についてのみを説明します。

Empress サーバー名は、empsvadmのどのような実行においても指定しなければ なりません。一般的なこのユーティリティの用法は以下になります。

    empsvadm servername command 

1. servername は、Empress サーバーの名前になります。 デフォルトサーバー名は$EMPRESSPATH/config/netserver.cfgファイル中の NAMEによって設定されています。 リプリケーションマスターサーバーのデフォルトservernameは、 emprepsvで、コネクティビティ(ODBC)サーバーのデフォルト servername は、 empodbcsvになります。

2. command は、以下の1つを指定します。

上記がempsvadmユーティリティの機能になります。 これらの機能は [ リファレンス: Empress サーバー管理ユーティリティ] においてもリストされています。 いくつかの機能のための使用例は説明しますが、 このセクションでの例は、 Empressサーバー環境変数の値は初期設定されたデフォルトを 使用していると想定します。

Empress サーバーは、起動するためにコンフィグレーションが必要です。 このコンフィグレーションとは環境変数およびEmpressサーバーのコンフィグレーションの 設定であり、 [ Empress サーバーとクライアントのコンフィグレーション]. で説明されています。 また、完全なEmpress サーバー環境変数の説明と コンフィグレーションとコンフィグレーション変数のデフォルト値の内容は [ リファレンス: Empress サーバー環境変数] に提供されます。

6.2.1 Empress サーバーのスタート

Empress サーバーの開始をするためには、 Empress サーバー管理ユーティリティempsvadmstartコマンドを使用します。
    empsvadm server_name start [option]
[option] は、 Empress サーバーが起動されるときのオプション指定で サーバーの種類によって異なります。
Empress サーバー環境が正しくコンフィグレーションされた場合、 このコマンドを実行することでEmpress Serverが起動され、また、 起動時のEmpress サーバーのステータスも表示されます。 ステータスについては [ Empressサーバーステータス情報出力例 ]を参照してください。

Empressサーバーが起動されたときにログ出力を開始します。 ネットワークコンフィグレーションファイル内の Empressサーバーログファイルの指定と ログの内容は、 [ リファレンス: Empress サーバーログファイル] に提供されています。 Empressサーバーログファイルを解析するためのユーティリティは、 [Empress サーバーログ解析ユーティリティ] に説明されています。

指定可能な開始オプション[option]

  1. リプリケーションマスターサーバーで指定可能なオプションは以下になります。

       -f Rep_Server_Start_Config_File
    
    このオプションは リプリケーションマスターサーバーが操作を開始する データベースおよびテーブルを 指定するために使用することができ、 この特定のリプリケーションマスターサーバーは 他のテーブルは扱うことはできません。 このオプションが指定されない場合、 すべての RMT は、このリプリケーションマスターサーバーによって サーバーがそのテーブルのデータベースを含むホストへ アクセスすることができる間に サービスを受けるための コンフィグレーションすることができます。

    Rep_Server_Start_Config_File の内容は、 [ リプリケーションマスターサーバースタートコンフィグレーションファイル ]に提供されています。 リプリケーションサーバースタートコンフィグレーションファイル オプションが指定された リプリケーションマスターサーバーの起動するとき リプリケーションサーバースタートコンフィグレーションファイルに 指定されたデータベースとテーブルは存在し、またリプリケーションマスターサーバー によってアクセス可能である必要があります。 テーブルはリプリケーションテーブルであり、また少なくとも1つは リプリケーションリプリケートエントリ定義を持つ必要があります。

    emprepsvという名前のリプリケーションマスターサーバーを起動する例を 以下に示します。

        empsvadm emprepsv start -f Server_Start_Config_File
    
    Empressサーバーのコンフィグレーションが正しければ、 emprepsvと呼ばれる新しいリプリケーションマスターサーバーが起動され、 成功したメッセージを表示します。

  2. コネクティビティ(ODBC)サーバーで指定可能なオプションは以下になります。

      -f odbc_Server_Config_file
    
    ODBCサーバーコンフィグレーションファイルodbc_Server_Config_fileは、 各データーベースのためのEmpress ODBC 接続情報を定義するために使用されます。 このファイルが指定されない場合、ODBCはデフォルトの値を使用します。 odbc_Server_Config_fileの内容は、 [ Empress コネクティビティ(ODBC) サーバーコンフィグレーションファイル ]. に提供されています。

    empodbcsvという名前のコネクティビティ(ODBC)サーバーを起動する例を 以下に示します。

        empsvadm empodbcsv start -f odbc_Server_Config_File
    
    Empressサーバーのコンフィグレーションが正しければ、 empodbcsvと呼ばれる新しいODBCサーバーが起動され、 成功したメッセージを表示します。

6.2.2 クライアント接続のクローズ

このコマンドは、Empress サーバーへのクライアント接続を閉じます。
   empsvadm servername close client_id 
client_id ID は、クライアントと Empress サーバーの接続が確立したときに クライアントに与えられた ID になり、 この ID は、サービスが実行されている間は有効です。 新しいclient_idは、各クライアント接続ごとに割り当てられます。
これは予期された時間を越えている場合や まだ、終了していないリクエストを 終了するために通常、行われます。

6.2.3 Empress サーバーの情報取得

現在、稼動しているEmpress サーバーおよび そのコンポーネントの情報は、 Empress サーバー管理ユーティリティempsvadminfoコマンド を使用して参照することができます。
   empsvadm server_name info
以下についての情報を表示します。
  1. Empress サーバー名
  2. Empress サーバータイプ
  3. スプーラープロセス ID
  4. Empress 管理サーバー用のポート番号
  5. Empress サービスサーバーのポート番号
  6. Empress サーバーが起動したときに稼動可能な サービスサーバーの最小・最大数と 実際に現在、稼動しているサービスサーバー数
  7. 各サービスサーバーごとの 論理 ID とオペレーションシステムのプロセスID、 管理サーバーの論理 ID とオペレーションシステムのプロセスID、 および、これらの各サーバーによってサービスを受けるクライアント数。
  8. 総クライアント数 (このEmpress サーバーにより制御されているすべてのプロセスによって サービスを受ける総クライアント数)
  9. このEmpress サーバーによりサービスを受けるクライアントについての情報。 これは、Empressによって割り当てられたクライアントID、 (これはクライアントとサーバー間の接続を閉じるために使用することができるIDになります。) オペレーティングシステムのプロセスID、 クライアントの開始時間、 このサービスのユーザーログイン名が含まれています。
emprepsvという名前の稼動しているリプリケーションマスターサーバー の情報を取得するする例を以下に示します。
   empsvadm emprepsv info
リプリケーションマスターサーバーに対するこのコマンドのサンプル出力は、 [ サンプルリプリケーションマスターサーバーステータス情報 ] に提供されています。

empodbcsvという名前の稼動しているODBCサーバー の情報を取得するする例を以下に示します。

   empsvadm empodbcsv info
ODBCサーバーに対するこのコマンドのサンプル出力は、 [ サンプルコネクティビティ(ODBC)サーバーステータス情報 ]. に提供されています。

6.2.4 サービスサーバー数のリセット

Empress サーバーによって管理されている サービスサーバー数のリセットをするコマンドです。
   empsvadm servername servers min [max] 

min スプーラーが最初に起動するサーバー数
max minの数で指定されたサーバーがすべて使用中であるときに スプーラーが起動するオプションの追加サーバー数になります。 スプーラーはminmax間の数のサーバーを管理しますが、 デフォルトではmaxminです。 この場合、サーバーがアイドル状態になったときに自動的にminに戻すために サーバー数を減すための準備(蓄え)はないことになります。 minmaxは"0"を設定することはできません。また、 契約した Empress のライセンス数を越えた数を設定することはできません。

Emprss サーバーの最大および最小サーバーの初期数は、 ネットワークコンフィグレーションファイル内に設定された MSNETTYPE または MSNETSERVER のどちらかのコンフィグレーションブロック内の コンフィグレーション属性NUM_SERVERS_MINNUM_SERVERS_MAX に指定されます。 Empressサーバーの起動開始と同時に1つの管理サーバーの起動と共に 設定された最小数のサービスサーバーが起動され、 スプーラーによって制御されます。 NUM_SERVERS_MIN数のサービスサーバーが使用中である場合、 スプーラーは、Empressサーバーのクライアントにサービスするために NUM_SERVERS_MAX数のサービスサーバーを起動します。

6.2.5 Empressサーバーの停止

既に稼動しているEmpressサーバーを停止するために、 Empress サーバー管理ユーティリティempsvadmstopコマンド を使います。
    empsvadm server_name stop [force]
Empress サーバーは、 すべてのサービスサーバーが サービスしているクライアントを終了させた後にだけ停止します。 [force]オプションを伴って使用した場合、 サービスをしている最中のサーバーに対しても強制的に終了させます。

emprepsvという名前の稼動しているリプリケーションマスターサーバー を停止させる例を以下に示します。 Example for stopping a Replication Master Server named emprepsv can be:

empsvadm emprepsv stop

empodbcsvという名前の稼動しているODBCサーバー を停止させる例を以下に示します。

empsvadm empodbcsv stop

6.2.6 Empressサーバーのリフレッシュ

このコマンドは、Empressサーバーのコンポーネントをリフレシュします。
   empsvadm servername refresh
自分で終了することをそれらに要求すること。 Empress サーバーは、コンポーネント (サービスサーバー管理サーバー) にそれ自身で終了することを要求するメッセージを送ります。 Empressサーバーのコンポーネントは、アイドルであれば自身で終了します。 コンポーネントはまた、 スプーラーからのメッセージの結果、または、 クライアントにサービスを行った後に そのクライアントの接続を閉じた後に自身で終了します。 これらの数は ネットワークコンフィグレーションファイル内の コンフィグレーション属性 MAX_CLIENTS_PER_SERVER_ADMIN および MAX_CLIENTS_PER_SERVER_SERVICE の値に指定され、この値に"0"が指定された場合、無限を意味します。 この自分自身で終了することは、システムリソースの解放をすることを意味し、 必要なときにだけ新しいコンポーネント(サービスサーバー)を起動するために そのコンポーネント数を最小に移行します。

6.2.7 Empress サーバーの中断

このコマンドは、Empressサーバーの中断をします。
   empsvadm servername interrupt server_id 
server_id Empressサーバーによって割り当てられたサーバーコンポーネントの ID 番号。
このコマンドは、指定されたサーバーコンポーネントに割り込みシグナル(SIGINT) を送ることをスプーラーに要求します。 SIGINT(スプーラーまたはその他から)を受け取り次第、 サーバーコンポーネントは、 そのサーバーがシグナルをハンドリングするためコードを持っている場合、 サーバーの固有のシグナルハンドリング関数 コールします。そうでなければ、無視されます。

6.2.8 Empress サーバー管理者のパスワードの変更

このコマンドは、Empress サーバーの管理者のパスワードを 変更するためのコマンドです。

パスワードを変更するためのコマンドは以下の通りです。

   empsvadm servername change_password [login]
login Empressサーバー管理者のログイン名。 <login> 名が指定されていない場合、 Empressサーバーユーティリティはログイン名を指定するプロンプトを出力します。

6.3 Empress サーバーおよびクライアントのコンフィグレーション

Empress サーバーおよびクライアントは確実に動作するために コンフィグレーションが必要です。 Empress サーバーコンフィグレーションは、 Empress サーバー管理ユーティリティのempsvadmの引数およびオプションで 指定することができますが、また、環境変数としても設定できます。 (ここでのコンフィグレーションの意味は「コンフィグレーションファイルの指定」を意味します。) Empress サーバーおよびクライアントが実行されるとき、 これらの環境変数に設定された値を参照します。 これらの環境変数の値は、 コンフィグレーションブロックとコンフィグレーション属性が含まれたファイルの 名前になります。 (コンフィグレーション属性は環境変数ではないことに注意してください。 環境変数は、MSNETSERVERCONFIGFILEのようなコンフィグレーションファイルの指定のため に利用されています。)

これらの環境変数の完全なリストは [ リファレンス: Empress サーバー環境変数]. に提供されています。 このセクションでは、以下の環境変数およびそれに指定されるファイルの内容に ついて詳細に説明します。

MSNETSERVERCONFIGFILE
ネットワークサーバーコンフィグレーションファイル名

MSNETTYPECONFIGFILE
ネットワークタイプコンフィグレーションファイル名

MSUSERAUTHCONFIGFILE
ユーザー認証コンフィグレーションファイル名

MSCONFIGFILEPATH
コンフィグレーションファイル群へのパス

6.3.1 ネットワークコンフィグレーション

MSNETSERVERCONFIGFILEの値として指定されたファイルを、 ネットワークサーバーコンフィグレーションファイル (netserver.cfg) と呼びます。 また、MSNETTYPECONFIGFILEの値として指定されたファイルを ネットワークタイプコンフィグレーションファイル (nettype.cfg) と呼びます。 この 2 つのファイルには、Empress サーバーがネットワーク接続で使用するための コンフィグレーション属性が含まれます。これら2つのファイルを総称して ネットワークコンフィグレーションファイルと呼びます。

デフォルトのネットワークコンフィグレーションファイルは $EMPRESSPATH/configディレクトリに見つけることができます。 これらのファイルの名前は$EMPRESSPATH/config/inifile内に 以下のように設定されています。

   MSNETSERVERCONFIGFILE=netserver.cfg
   MSNETTYPECONFIGFILE=nettype.cfg 

Empress サーバーは、これら2つの環境変数に指定されたファイルを捜しますが、 指定されたファイルが見つからない場合、 環境変数MSCONFIGFILEPATHに指定されている値の順に、 その値のパスをネットワークコンフィグレーションファイル名に付加して捜します。 MSCONFIGFILEPATHの詳細は [コンフィグレーションファイル群へのパス]. に説明されています。

ネットワークコンフィグレーションファイルのデフォルト名を変更は、 環境変数に新しい値を設定することで変更ができます。 例えば C シェル環境であれば、以下のように入力します。

   setenv MSNETSERVERCONFIGFILE new_netserver.cfg 

netserver.cfgnettype.cfg内のほとんどのコンフィグレーション属性は、 いくつかを除いて、同じものです。 この 2 つのファイルの主な違いは、 nettype.cfgファイル内の各ブロックは、 同じ種類のすべてのサーバーに対するコンフィグレーションが含まれることです。 例えばサーバーの種類が"ODBC サーバー"とした場合、その"ODBC サーバー" と同じタイプのすべてのサーバーの設定ということになります。 しかし、netserver.cfgファイル内の各ブロックは、 各サーバーのためのコンフィグレーションが含まれていることで、 例えば"empodbcsv"という名前付けられたサーバーがある場合、 それに対してのみの設定になります。 特定のEmpress サーバーのためのネットワークコンフィグレーションの設定することは、 ネットワークサーバーコンフィグレーションファイルネットワークタイプコンフィグレーションファイルの中の コンフィグレーション属性の値を上書きすることと考えることができます。

また、常にEmpresss サーバー管理者は、 ネットワークコンフィグレーション属性の値の変更することを決定しますが、 ネットワークタイプコンフィグレーションファイルのプリセットされた 属性値を変更しないようにするため、 ネットワークサーバーコンフィグレーションファイルの 属性値を設定することを推奨します。

6.3.1.1 ネットワークタイプコンフィグレーションファイル(nettype.cfg)

Empress インストレーションの間にnettype.cfgの内容は、 それぞれのEmpress サーバーのtypeごとの全体のネットワーク情報を含んだ 内容を事前に設定します。 nettype.cfgの内容は、通常、ユーザーによって変更するべきではありません。

nettype.cfgファイルには、 ブロックの開始を意味するMSNETTYPEと ブロックの終了を意味するMSNETTYPEENDを伴った ブロックが含まれます。 それぞれのブロックは、Empressサーバーの1つのタイプについての コンフィグレーション情報を記述しますが、必ず"TYPE"の指定を 含める必要があります。

TYPE
Empressサーバーのタイプ。 (リプリケーションマスターサーバーのためのブロックを始めるためには、 "replication_master"を指定し、 ODBCサーバーのためのブロックを始めるためには、"odbc"を指定します。)

nettype.cfgのブロックには、 特定のタイプのすべてのサーバーに有効なコンフィグレーション属性を 設定します。 コンフィグレーション属性の例として、すべてのODBCサーバーに 有効なブロックの設定は以下のように指定します。

MSNETTYPE
   TYPE=odbc
   ....
MSNETTYPEEND 

6.3.1.2 ネットワークサーバーコンフィグレーションファイル(netserver.cfg)

それぞれのEmpressサーバーについての情報が、netserver.cfgファイルに含まれます。 各netserve.cfgファイルには、 ブロックの開始を意味するMSNETSERVERと ブロックの終了を意味するMSNETSERVERENDを伴った ブロックが含まれ、各ブロックはサーバーの名前とタイプによって 一意に識別されます。 各Empress サーバーは、netserver.cfgブロックが必要で、 netserver.cfgの内容は、各Empress サーバーのために変更が必要な場合が あります。

また、各netserver.cfgブロックには必ず"NAME"と"TYPE"の指定を含める必要があります。

NAME
このブロックが使用されるEmpressサーバーの名前
TYPE
Empressサーバーのタイプ。 (リプリケーションマスターサーバーのためのブロックを始めるためには、 "replication_master"を指定し、 ODBCサーバーのためのブロックを始めるためには、"odbc"を指定します。)

強く推奨する設定

SECURITY_PASSWORD_FILE
パスワードファイル名を指定します。 このパスワードファイルへのフルパスの設定は、Empress社により推奨されます。 パスワードファイルは、emppasswordを使って作成されたファイルです。

netserver.cfgのブロックには、 特定のサーバーだけに有効なコンフィグレーション属性を 設定します。 コンフィグレーション属性の例として、 タイプが"odbc"で"empodbcsv"と名前付けされたサーバーだけに 有効なブロックの設定は以下のように指定します。

MSNETSERVER
   NAME=empodbcsv
   TYPE=odbc
   SECURITY_PASSWORD_FILE=password_file 
    ...
MSNETSERVEREND
netserver.cfgに設定された属性の値は、 nettype.cfgの値を上書きすることになります。

注意:

    パスワードファイルが指定されない場合、Empress は、 $EMPRESSPATH/config/netserver.cfg内に見つけた デフォルトのパスワードファイルを使用することを試みます。 また、このパスワードファイルに読み込み・書き込みができない場合は、 サーバーを開始する試行をしている間、エラーメッセージを出力します。

6.3.1.3 ネットワークコンフィグレーションファイルの共通属性

以下は、netserver.cfgおよびnettype.cfgに設定可能な ネットワークコンフィグレーション属性のリストです。

HOST
Empressサーバーを稼動するホスト名
この属性のデフォルト値はlocalhostです。 これはアプリケーションおよびクライアントが、 アプリケーションを起動したホスト上に サーバーが稼動していると仮定した場合を意味します。 Empress サーバーが他のマシン上で稼動している場合は、 そのマシンのホスト名またはIPアドレスをクライアント側の この属性に指定する必要があります。

PORT_SERVICE
Empressサーバーのサービスのためのポート番号。 Empressサーバーは、すべてのサービスリクエストをこのポートで受け付けます。
この属性のデフォルト値は、リプリケーションマスターサーバーでは netserver.cfgファイルに設定され、 コネクティビティサーバーでは nettype.cfgに設定されています。

PORT_ADMIN
Empressサーバーの管理のためのポート番号。 Empressサーバーは、すべての管理リクエストをこのポートで受け付けます。 スプーラーはすべての管理リクエストを扱うための 1つの管理サーバーを起動し、維持します。
この属性のデフォルト値は、リプリケーションマスターサーバーでは netserver.cfgファイルに設定され、 コネクティビティサーバーでは nettype.cfgに設定されています。

ADMINISTRATOR
Empressサーバーの管理ログイン名。 Empressサーバーの起動と管理をするためのユーザー名になります。
管理用オペレーションは、 Empressサーバー上の非管理用オペレーションとは異なることに注意してください。 [ Empress サーバー管理ユーティリティ ]を参照してください。

TIMEOUT_OPEN_INIT
クライアントはサーバーに"start connection"メッセージを送信した後に クライアントはサーバーからの"accept"メッセージを待つためのタイムアウト値 を秒数で指定します。 これはクライアントのためのもので Empress サーバーが立ち上がっているか、また 接続が確立されかどうかをチェックします。 タイムアウト期間内に"accept"メッセージを受け取れない場合、 クライアントはサーバーに接続することできなかったと仮定します。 "0" は無限大を意味し、したがってそのような タイムアウトチェックは行わないようにしてください。

TIMEOUT_OPEN_REPLY
クライアントはサーバーに"open connection"メッセージを送信した後に クライアントはサーバーからの"open success"メッセージを待つためのタイムアウト値 を秒数で指定します。 これはクライアントのためのもので接続が成功した後に Empress サーバーが現在、立ち上がった状態であるか、また 接続が確立されかどうかを確認します。 "0" は無限大を意味し、したがってそのような タイムアウトチェックは行わないようにしてください。

TIMEOUT_OPEN_MESSAGE
サーバーが システムの接続が確立した後にクライアントからの最初のメッセージを待つための タイムアウト値を秒数で指定します。 "0" は無限大を意味し、したがってそのような タイムアウトチェックは行わないようにしてください。

TIMEOUT_NORMAL
クライアントが、サーバーへのリクエストの返答を待つためのタイムアウト値を 秒数で指定します。 この属性は非常に注意して設定する必要があります。

TIMEOUT_CLIENT_IDLE
サーバープロセスが、タイムアウトするかあるいはクライアントが終了する前に 任意の活動しているクライアントを待つためのタイムアウト値を秒数で指定します。 その結果をサーバーログ中のメッセージとして取得できます。 変数のデフォルトは指定されていないか、あるいは "0"で、 タイムアウトなしという意味になります。

TIMEOUT_IDLE
アイドル状態のサーバープロセスが、その自身の終了の前に クライアントの接続を待つためのタイムアウト値を秒数で指定します。

SPOOLER_PROG
Empressサーバーのスプーラープログラム名。 Empressサーバー管理ユーティリティは、パスおよび スプーラーとして実行するこの属性のプログラム名をチェックします。

SERVER_ADMIN_PROG
Empressサーバーの管理サーバープログラム名。 Empressサーバー管理ユーティリティは、パスおよび 管理サーバーとして実行するこの属性のプログラム名をチェックします。

SERVER_SERVICE_PROG
Empressサーバーのサービスサーバープログラム名。 Empressサーバー管理ユーティリティは、パスおよび サービスサーバーとして実行するこの属性のプログラム名をチェックします。

LISTEN_BACKLOG
この属性は未処理の接続要求のキューの最大長を定義します。 キューが一杯の時に接続要求が届いた場合、 クライアントはエラーを受け取ります。

NUM_SERVERS_MIN
スプーラーが最初に起動するサービスサーバー数。

NUM_SERVERS_MAX
NUM_SERVERS_MIN数のサービスサーバーがすべて使用中である場合、 スプーラーはNUM_SERVERS_MAX数の追加のサービスサーバーを起動します。 スプーラーはNUM_SERVERS_MIN と NUM_SERVERS_MAX間のサービスサーバーを管理します。

NUM_CLIENTS_PER_SERVER_ADMIN
管理サーバーが同時にサービスをするクライアント数。 管理リクエスト数がこの数を越えた場合、 リクエストしたクライアントは 管理サーバーが許可したクライアントの最大数に達し、 同時に他のクライアントにサービスすることはできない ことを示したメッセージを受け取ります。

NUM_CLIENTS_PER_SERVER_SERVICE
それぞれのサービスサーバーが同時にサービスをするクライアント数。 サービスリクエスト数がこの数を越えた場合、 リクエストしたクライアントは サービスサーバーが許可したクライアントの最大数に達したか、 あるいはサービスリクエストが他の有効なアイドル状態のサービスサーバーに 送られたことを示したメッセージを受け取ります。

SECURITY_ENFORCE_USERNAME
この属性に値がセットされた場合、"Empress サーバーログイン名"は、 "オペレーティングシステムのユーザー名"と同じものとしてチェックされます。

SECURITY_CHECK_PASSWORD
この属性に値がセットされた場合、Empress サーバーは リクエストするクライアントユーザーの ユーザー名とパスワードを コンフィグレーション属性SECURITY_PASSWORD_FILEの値によって 指定されたバスワードファイルを照らし合わせチェックします。 (また、ユーザー認証コンフィグレーションファイルによって)

SECURITY_PASSWORD_FILE
Empressサーバーが、クライアントのログイン名およびパスワードの 正当性をチェックするためのパスワードファイル名。 UNIXパスワードファイルと同じフォーマットを持っています。

MAX_CLIENTS_PER_SERVER_ADMIN
Empressサーバーの管理サーバーによって、 自身で終了し、そして新しく管理サーバーが開始する前に 行われるサービスの最大数。 "0" は無限大を意味し、したがって、サービス数は 管理サーバーがスプーラーによってチェックされません。

MAX_CLIENTS_PER_SERVER_SERVICE
Empressサーバーのサービスサーバーによって、 自身で終了し、そして新しくサービスサーバーが開始する前に 行われるサービスの最大数。 "0" は無限大を意味し、したがって、サービス数は サービスサーバーがスプーラーによってチェックされません。

LOGFILE
Empress サーバーによって実行されたオペレーションと リクエストされた履歴を管理するためのログファイルの名前およびパスを 指定します。 この値が設定されない場合、ログファイルはEmpressサーバーが 起動されたディレクトリの下に<server_name>.logという名前で 作成されます。

CLIENT_SNDBUF_SIZE and CLIENT_RCVBUF_SIZE
クライアントの送信・受信バッファサイズ

SERVER_SNDBUF_SIZE and SERVER_RCVBUF_SIZE
サーバーの送信・受信バッファサイズ

CLIENT_SNDBUF_SIZE, CLIENT_RCVBUF_SIZE, SERVER_SNDBUF_SIZE, SERVER_RCVBUF_SIZE の4つの変数のデフォルト値は ほとんどのシステムで設定されていません。 これは、Empressサーバーがデフォルトのシステム値を使用している という意味になります。 しかしながら、いくつかのシステムでは最適なパフォーマンスを得るための値を 設定する必要があるかもしれません。 ユーザーが、この4つの属性の値の変更をすることを推奨しません。

ネットワークコンフィグレーションファイルの内容のリストは、 [ リファレンス: Empress サーバー環境変数:ネットワークコンフィグレーションファイル ]. に提供されています。

6.3.2 ユーザー認証

セキュリティの問題のため、 Empress サーバーへのリクエストを送るためにクライアントは いくつかの認証を要求されます。また、 Empress サーバー上での管理および非管理オペレーションを 実行する場合でも認証を要求されます。

Empress サーバーの管理者は、 Empress サーバー上の管理オペレーションを実行するための 認証された唯一のユーザーです。 管理オペレーションは、 [Empress サーバー管理ユーティリティ], に"管理コマンド"として記述されています。

Empress サーバーの管理者は、クライアントの認証チェックを するべきかどうかを決定します。 Empress サーバーのクライアントは、 稼動しているEmpress サーバーにリクエストを送るユーティリティ(アプリケーションなど)か、 または Empress サーバー上の非管理用オペレーションの実行する [Empress サーバー管理ユーティリティ] のユーザーです。 クライアントの認証は、ログイン名とパスワードの組み合わせです。 Empress サーバーは認証チェックをするために、 ログイン名とパスワードのプロンプトを出力し、 このログイン名とパスワードを パスワードファイル内容とチェックします。 ログインが認証されない場合、リクエストしたプロセスを拒否し、 エラーメッセージを返します。

Empressサーバーの"Empress サーバーログイン名"は、 Empress サーバーに対してのログイン名になります。 これはユーザーによって、ログイン時にプロンプトで入力された名前です。 また、"ユーザー名"はオペレーティングシステムへのログイン名になります。 Empressサーバーの管理者は、"Empress サーバーログイン名"を"ユーザー名"と 同じとして強制的に扱うことができます。

認証を目的として利用される場合の値を設定した ネットワークコンフィグレーションファイル内のコンフィグレーション属性 は以下のようになります。

  • ADMINISTRATOR=admin_name
    admin_nameは、Empressサーバーの管理者の名前

  • SECURITY_CHECK_PASSWORD=X
    Empressサーバーは強制的にユーザーのログイン名とパスワードをチェックします。

  • SECURITY_PASSWORD_FILE=password_file
    password_fileファイルは、Empress サーバーのユーザー認証のチェックを するためのパスワードファイルです。 このファイルは、Empress サーバーにより読み込み・書き込み可能である必要があります。 また、password_file[emppassword] ユーティリティを使って作成可能です。 [emppassword].

  • SECURITY_ENFORCE_USERNAME=X
    強制的に"ユーザー名"を、"Empress サーバーログイン名"と同じに扱います。

6.3.2.1 ユーザー認証コンフィグレーションファイル

環境変数MSUSERAUTHCONFIGFILEの値は、 ユーザー認証コンフィグレーションファイルの名前を指定します。 ユーザー認証コンフィグレーションファイルは、 Empress サーバーのユーザーのための認証用個人情報を含みます。

ユーザー認証コンフィグレーションファイルは、 ブロックの開始を意味するMSUSERAUTHと ブロックの終了を意味するMSUSERAUTHENDを伴った ユーザー認証ブロックが含まれ、各ブロックにはEmpress サーバー名、 ログイン名、パスワードが指定されます。

MSUSERAUTHCONFIGFILEのデフォルトの値はヌルで、 この環境変数にユーザー認証コンフィグレーションファイルが設定された場合、 Empress サーバーに対するすべてのリクエストは、 ユーザー認証コンフィグレーションファイルの内容を通して Empressサーバーに渡されます。 Empressサーバーがユーザー認証チェックをする必要がある場合、 ユーザー認証ブロックの内容はサーバーを通して、チェックされます。 これはすべてのEmpressServerへのリクエストに対し、 リクエストしたユーザーのログイン名およびパスワード入力の必要性をなくします。

以下は、ユーザー認証コンフィグレーションファイルに コンフィグレーション属性を設定したリストになります。 ユーザー認証コンフィグレーションファイルの説明は、 [ リファレンス: ユーザー認証コンフィグレーションファイル] に提供されます。

ユーザー認証コンフィグレーションファイルの内容

MSUSERAUTH 
   SERVER=server    
   LOGIN=login     
   PASSWORD=password
MSUSERAUTHEND

6.3.3 コンフィグレーションファイル群へのパス

  MSCONFIGFILEPATH=path_to_config_files 
path_to_config_filesは、Empress サーバーコンフィグレーションで 使用するファイル群が置かれているディレクトリへの フルパス名のリストになります。 ファイル群とは、環境変数 MSNETSERVERCONFIGFILEMSNETTYPECONFIGFILEおよび MSUSERAUTHCONFIGFILEによって 設定されたそれぞれのファイルになります。 ファイルパスのリストは、セミコロン";"によって分離され、 リストの最初から指定された順に捜します。

MSCONFIGFILEPATH のデフォルト値は、以下のとおりです。 ($EMPRESSPATH/config/initfileに設定されています。)

  MSCONFIGFILEPATH="$HOME/.empress;$HOME;${EMPRESSPATH}/config"

Empress サーバーは、 Empressサーバーコンフィグレーションファイル (通常nettype.cfg, netserver.cfgおよび user authorization configuration file) に対応する環境変数 MSNETSERVERCONFIGFILE, MSNETTYPECONFIGFILEおよび MSUSERAUTHCONFIGFILE. によって設定された値によりファイルを捜します。 それらの名前を見つけることができない場合、 環境変数MSCONFIGFILEPATHに設定されている出現順の値に ネットワークコンフィグレーションファイルの名前を追加したパスが 指定されます。 また、MSCONFIGFILEPATHの最初のパスは、 環境変数によって設定された名前と一致するファイルを 捜すための最も高い優先順位を持つことに留意してください。

例えば、 $HOME/.empressディレクトリおよび ${EMPRESSPATH}/configディレクトリの両方に netserver.cfgがあるとした場合、 前のものが使用されます。 他のディレクトリのものを使用したい場合は、 MSCONFIGFILEPATHの値に、 最初のパスとしてそのディレクトリを設定します。

次の設定例を考えてみてください。
MSNETSERVERCONFIGFILE=netserver.cfg
MSCONFIGFILEPATH="$HOME/.empress;$HOME"
  1. Empress サーバーは起動されたところのカレントディレクトリの netserver.cfgと名前付けられたファイルを捜します。
  2. そのファイルを見つけることができない場合は、 $HOME/.empress/パスをこのファイル名の前に付加して $HOME/.empress/netserver.cfg ファイルを捜します。 .
  3. さらに見つからない場合は、 $HOME/netserver.cfgファイルを捜します。

6.4 Empress サーバーログ解析ユーティリティ

Empress サーバーログ解析ユーティリティempsvlogstatは、 Empress サーバーログファイルのデータを解析および表示のために使用します。 Empress サーバーログファイルは、 Empress サーバーによって実行されたオペレーションの履歴を保存するため、 Empress サーバーの起動時に作成されます。 これは、Empress サーバーで実行されたクライアントのリクエストの履歴になります。

Empress サーバーログファイルには、 詳細なEmpress サーバーの使用についての より多くの洞察を得るために 使用することができる有益な情報が含まれています。 Empress サーバーログ解析ユーティリティempsvlogstatは、 ログファイルの内容を解析する付加的な機能をユーザーに提供します。 指定された時間枠の統計結果の集計の表示する機能を実装されています。 empsvlogstatは、以下のような問いに答え、また他の多くの情報を提供します。

  • 先週、何人の個別のユーザーがEmpress Serverにアクセスしたか?
  • 今日、何回、Empress サーバーに接続されたか?
  • 今週の月曜日から金曜日までのEmpress サーバーへの最大接続数は ?
  • Empressサーバーが起動されてからの Empressサーバーへのすべての接続期間の平均は?

6.4.1 Empress サーバーログ解析ユーティリティempsvlogstatの使用法

いくつかのログ解析機能を提供されますが、その機能として 個別ユーザーの情報、 サーバーの起動数、 使用中のサーバー数、 アイドルサーバー数、 接続数、接続期間、不正なライセンスによる拒否された接続数 を報告します。

Empress サーバーログ解析機能は、以下の構文に従い、 empsvlogstatにより実行されます。

  empsvlogstat logfile_spec [keywords]... [start_time end_time [interval]] [dump] 
logfile_specは、右のどちらかになります。
  • svname
    サーバーコンフィグレーションファイルのEmpress サーバー名
  • -f log_file
    Empress サーバーログファイル
keywordsは、右のすべての組み合わせになります。
  • user (または uniqueusers)
    個別ユーザー情報の表示
  • up (または upservers)
    サーバー起動数の表示
  • idle (または idlseservers)
    アイドルサーバー数の表示
  • used (または usedservers)
    使用中のサーバー数の表示
  • conn (または connections)
    接続数の表示
  • dur (または connectiondurations)
    接続期間の表示
  • lic (または licenceexceeded)
    不正なライセンスによる拒否された接続数の表示
start_time 統計データを解析する開始時間、入力フォーマットは以下のとおり。
  • start
    ログファイルのはじめから開始します。
  • "yyyy-mm-dd hh:mm:ss"
    完全な日付と時間を指定し、 引用符付きの文字列として指定します。
  • hh:mm:ss
    今日の日付として使用します。
end_time 統計データを解析する終了時間、入力フォーマットは以下のとおり。
  • end
    ログファイルの最後を終了とします。
  • "yyyy-mm-dd hh:mm:ss"
    完全な日付と時間を指定し、 引用符付きの文字列として指定します。
  • hh:mm:ss
    今日の日付として使用します。
interval
解析のためのデータ集計サンプリング期間、入力フォーマットは以下のとおり。
hh:mm:ss
デフォルトの値は、次のように計算されます。
(end_time - start_time) / 10.
この結果が、 1 秒より少ない場合、 1 秒をインターバル値として使用します。
dump このオプションは、ほとんどのラベルを抑止し、 値だけの出力を強制します。 値は特別なセパレータ文字 CTRL-V によって分けれられます。

6.4.2 例

Empress サーバーログファイルからの情報の集計 および、特定な詳細情報の表示をするためにどのように empsvlogstatユーティリティを使用するかを 次のセクションで例を記述します。 ユーティリティは すべてのキーワード(例えば user, up, idle , ...) に関連した 情報の表示するために オペレーティングシステムのプロンプト上で 以下のコマンドを使用することができます。
      empsvlogstat sv1 
上記のsv1は、Empressサーバーコンフィグレーションファイル内に指定された Empress サーバー名になります。

6.4.2.1 個別ユーザー情報の表示

サーバーログファイルから個別ユーザー情報を表示するためには、 オペレーティングシステムのプロンプト上で 以下のコマンドを使用することができます。
      empsvlogstat sv1 user 
このコマンドは、ログファイル全体での 個別ユーザーの情報 (ユーザー名、接続数、1回の接続あたりの平均期間) を表示します。
      empsvlogstat sv1 user start end 00:00:10
このコマンドは、サンプリング期間(つまりインターバル)を 10 秒として、 すべてのサーバーログからの個別ユーザー情報を表示します。
      empsvlogstat -f svlogfile.log user 11:15:00 end dump
このコマンドは、 11:15:00から、ログファイルの終了までに入力されたデータだけを範囲とし、 "svlogfile.log"に指定されたログファイルから個別ユーザー情報を表示します。 "dump"オプションはほとんどのラベルを抑止し、値だけを出力します。 この値は、EmpressセパレータCtrl+Vによって分離されています。 "dump"オプションを指定したときのこの出力は、 いくつかのサードパーティによるグラフィックツールなどの入力値として 利用することができます。 empsvlogstat sv1 userコマンドの出力例は以下の通りです。
開始時間: 2000-03-22 10:09:06
終了時間: 2000-03-22 10:10:14
間隔    : 00:00:07

名前                                                    接続数     平均接続時間
------------------------------------------------------  --------- ------------
robert(robert@localhost)                                        1    00:00:01
robert(robert@apple.empress.com)                                3    00:00:20
steven(steven@orange.empress.com)                               4    00:00:35

総ユニークユーザ数: 3

6.4.2.2 サーバー起動数の表示

Empress サーバーは、 スプーラー、管理サーバー、1つ以上のサーバーサービスからなる いくつかの構成要素を含んでいます。
      empsvlogstat sv1 up 
上記コマンドを実行することで、いくつのサーバー(サービスサーバーと 管理サーバー)が起動されたかを表示します。 このコマンドの出力は、 ログファイルの範囲での時間枠を越えた サーバ数の 最小、最大、平均も合わせて表示します。 例えば、以下のような出力になります。
開始時間: 2000-03-22 10:09:06
終了時間: 2000-03-22 10:10:14
間隔    : 00:00:07

                      #Up
                     -----
10:09:06                4
10:09:13                4
10:09:20                4
10:09:27                4
10:09:34                4
10:09:41                4
10:09:48                4
10:09:55                4
10:10:02                4
10:10:09                4

                      #Up
                     -----
最小                    4
最大                    4
平均                    4

6.4.2.3 アイドルサーバー数の表示

サーバーログファイルからアイドルサーバー数を表示するためには、 以下のコマンドを使用することができます。
      empsvlogstat sv1 idle 
このコマンドの出力は、 ログファイルの範囲での時間枠を越えた アイドルサーバ数の 最小、最大、平均も合わせて表示します。 例えば、以下のような出力になります。
開始時間 : 2000-03-22 10:09:06
終了時間 : 2000-03-22 10:10:14
間隔     : 00:00:07

                     #Idle
                     -----
10:09:06                 3
10:09:13                 3
10:09:20                 3
10:09:27                 2
10:09:34                 3
10:09:41                 2
10:09:48                 3
10:09:55                 3
10:10:02                 3
10:10:09                 3

                     #Idle
                     -----
最小                     2
最大                     3
平均                     3

6.4.2.4 使用中のサーバー数の表示

使用中のサーバー数を表示するためには、 以下のコマンドを使用することができます。
   empsvlogstat sv1 used
このコマンドの出力は、 ログファイルの範囲での時間枠を越えた 使用中のサーバ数の 最小、最大、平均も合わせて表示します。 例えば、以下のような出力になります。
開始時間: 2000-03-22 10:09:06
終了時間: 2000-03-22 10:10:14
間隔    : 00:00:07

                     #Used
                     -----
10:09:06                 1
10:09:13                 1
10:09:20                 1
10:09:27                 2
10:09:34                 1
10:09:41                 2
10:09:48                 1
10:09:55                 1
10:10:02                 1
10:10:09                 1

                     #Used
                     -----
最小                      1
最大                      2
平均                      1

6.4.2.5 接続数の表示

ログファイルによって定義された時間枠を超えた接続数を表示するためには、 以下のコマンドを使用することができます。
   empsvlogstat sv1 conn 
このコマンドの出力は、 時間枠を越えた(ログファイルの範囲での) 総接続数と 接続数の最小、最大、平均も合わせて表示します。 例えば、以下のような出力になります。
開始時間: 2000-03-22 10:09:06
終了    : 2000-03-22 10:10:14
間隔    : 00:00:07

                      #接続数
                     --------
10:09:06                  1
10:09:13                  1
10:09:20                  1
10:09:27                  2
10:09:34                  1
10:09:41                  2
10:09:48                  1
10:09:55                  1
10:10:02                  1
10:10:09                  1

                      #接続数
                     --------
最小                      1
最大                      2
平均                      1

総接続:                   4

6.4.2.6 接続期間の表示

ログファイルによって定義された時間枠を超えた接続期間を表示するためには、 以下のコマンドを使用することができます。
   empsvlogstat sv1 dur 
このコマンドの出力は、 ログファイルの範囲での時間枠を越えた すべての接続期間の 最小、最大、平均も合わせて表示します。 例えば、以下のような出力になります。
開始時間: 2000-03-22 10:09:06
終了時間: 2000-03-22 10:10:14
間隔    : 00:00:07

                       接続時間
                     ----------
10:09:06               00:00:01
10:09:13               00:00:14
10:09:20               00:00:00
10:09:27               00:00:17
10:09:34               00:00:00
10:09:41               00:00:28
10:09:48               00:00:00
10:09:55               00:00:00
10:10:02               00:00:00
10:10:09               00:00:00

                       接続時間
                     ----------
最小                   00:00:00
最大                   00:00:28
平均                   00:00:06

総接続の平均接続時間:  00:00:15

6.4.2.7 不正なライセンスにより拒絶された接続数の表示

ログファイルによる定義された時間枠を越えた 不正なライセンスにより拒絶された接続数の表示するためには、 以下のコマンドを使用することができます。
      empsvlogstat sv1 lic 
このコマンドの出力は、 ログファイルの範囲での 時間枠を越えた不正なライセンスにより 拒絶されたせ接続数と最小、最大、平均も合わせて表示します。 例えば、以下のような出力になります。
開始時間: 2000-03-22 10:09:06
終了時間: 2000-03-22 10:10:14
間隔    : 00:00:07

                     #Rejected
                     ---------
10:09:06                     0
10:09:13                     0
10:09:20                     0
10:09:27                     0
10:09:34                     0
10:09:41                     0
10:09:48                     0
10:09:55                     0
10:10:02                     0
10:10:09                     0

                     #Rejected
                     ---------
最小                         0
最大                         0
平均                         0

総接続拒否:                  0

6.5 パスワードファイルユーティリティ

Empress パスワードファイルの目的は、 Empressサーバーへのユーザーアクセスの制御のためです。 Empress パスワードファイルは、オペレーティングシステムのデフォルトか (通常 /etc/passwd)、または、ユーザーが作成したものになります。 注意として、ユーザーがパスワードファイルとして/etc/passwdファイルの コピーを使うことはできません。

Empress サーバーのユーザーが必要とする 多くの機能と多くの制御の指定を提供するために ユーザーは、パスワードファイルを作成し、 それを利用することを推奨します。 ユーザーが作成したパスワードファイルを使うことにより、 Empress サーバーユーザーの制御が オペレーティングシステム管理者の代わりに Empress DBAによって管理することができます。

オペレーティングシステムのデフォルトパスワードファイルを使いたい場合や ユーザーにデータベース使用以外のサービスを公表したくない場合、 ひとつの解決法として、 終了プログラムをそのユーザーのログインシェルに 指定することです。(ログイン後にすぐにログアウトする)

Empress サーバーは、 [ネットワークコンフィグレーションファイル]. のコンフィグレーション属性SECURITY_PASSWORD_FILE によって設定された位置に Empress パスワードファイルが置かれていることを想定しています。 ユーザーは通常、ユーザー自身が作成したEmpress パスワードファイルの 位置をnetserver.cfgファイルのこのコンフィグレーション属性の値を 変更する必要があります。

Empress は、Empress サーバーによって使用される ユーザー作成のパスワードファイルを管理するユーティリティ emppasswordを提供します。

6.5.1 パスワードファイルの作成

パスワードファイルを作成するためには、 以下のコマンドを実行します。
 emppassword -f password_file create
これにより、 password_fileに指定された名前の空のパスワードファイルが作成されます。

稼動中のEmpress サーバーにアクセス可能で、 そのEmpress サーバーによって 一度アクセスされたパスワードファイルに類似した パスワードファイルを作成したい場合は、 以下のコマンドを使用することができます。

 emppassword server_name create
このコマンドは、 [ ネットワークコンフィグレーションファイル ]の コンフィグレーションファイル属性 SECURITY_PASSWORD_FILE に設定したものと類似したパスワードファイルを作成します。

6.5.2 ユーザーの追加

パスワードファイルにユーザーを追加するためには、 以下のコマンドを使うことで追加ができます。
 emppassword -f password_file add user_login_name [options]
このコマンドは、パスワードファイルにログインエントリを追加します。

稼動中のEmpress サーバーにアクセス可能で、 そのEmpress サーバーによってアクセスされた パスワードファイルを操作したい場合、 以下のコマンドを使用することができます。

 emppassword server_name add user_login_name [options]
このコマンドは ネットワークコンフィグレーションファイルの コンフィグレーションファイル属性 SECURITY_PASSWORD_FILE に設定したパスワードファイルへログインエントリを追加します。

6.5.3 ユーザーの削除

パスワードファイルからのユーザーの削除をするためには、 以下のコマンドを使用することができます。

 emppassword -f password_file del user_login_name
このコマンドはパスワードファイルからログインコマンドを削除します。

稼動中のEmpress サーバーにアクセス可能で、 そのEmpress サーバーによってアクセスされた パスワードファイルを操作したい場合、 以下のコマンドを使用することができます。

 emppassword server_name del user_login_name
このコマンドは ネットワークコンフィグレーションファイルの コンフィグレーションファイル属性 SECURITY_PASSWORD_FILE に設定したパスワードファイルへログインエントリを削除します。

6.5.4 ユーザー情報のリスト

パスワードファイルのユーザー情報をリストするためには、 以下のコマンドを使用することができます。
 emppassword  -f password_file list [user_login_name]
このコマンドは ODBC サーバーパスワードファイルからの 指定されたuser_login_name ログインエントリについての情報をリストします。 user_login_nameが指定されない場合は すべてのユーザーの情報をリストします。

稼動中のEmpress サーバーにアクセス可能で、 そのEmpress サーバーによってアクセスされた パスワードファイルを扱いたい場合、 以下のコマンドを使用することができます。

 emppassword  server_name list [user_login_name] [-fast]
このコマンドは ネットワークコンフィグレーションファイルの コンフィグレーションファイル属性 SECURITY_PASSWORD_FILE に設定したパスワードファイルが使用されます。 -fastオプションが指定された場合、 ホスト名は、IPアドレスとともに表示されません。

6.5.5 ユーザー情報の更新

パスワードファイルのユーザー情報を更新するためには、 以下のコマンドを使用することができます。
 emppassword -f password_file  upd user_login_name [options]
このコマンドは、user_login_nameによって指定されたユーザーの情報を更新します。

稼動中のEmpress サーバーにアクセス可能で、 そのEmpress サーバーによってアクセスされた パスワードファイルを扱いたい場合、 以下のコマンドを使用することができます。

 emppassword server_name upd user_login_name [options]
このコマンドはネットワークコンフィグレーションファイルの コンフィグレーションファイル属性 SECURITY_PASSWORD_FILE に設定したパスワードファイルが使用されます。

6.5.6 コマンドオプション

以下のオプション[options]は、 emppasswordユーティリティの コマンドのうちのいくつかと合わせて使用することができます。

 -accept [+-]HOST[,...] 受け付け制御リストからホスト名の追加および削除
 -accept off            受け付け制御のOFFスイッチ
                        受け付け制御リストは無視され、このオプションにより修正不可
 -accept on             受け付け制御のONスイッチ
                        受け付け制御リストは無視され、このオプションにより修正不可
 -c COMMENT             ユーザーログインについてのコメントを指定
 -fast                  このオプションは、'list'オペレーションに用いられます。
                        オプションが指定された場合、ホスト名は IP アドレスと共に
                        出力されません。
 -p                     パスワードのプロンプト(更新オペレーション中)
 -reject [+-]HOST[,...] 拒否制御リストからホスト名の追加および削除
 -reject off            拒否制御のOFFスイッチ
                        拒否制御リストは無視され、このオプションにより修正不可
 -reject on             拒否制御のONスイッチ
                        拒否制御リストは無視され、このオプションにより修正不可

上記に指定されているキーワードHOSTは以下のフォーマットになります。

localhost               文字列 'localhost'.
HOSTNAME                マシンのホスト名
                        数とドットの記法のIPアドレスに変換されます。
HOSTNAME.DOMAIN         マシンのホスト名
                        数とドットの記法のIPアドレスに変換されます。
xxx.xxx.xxx.xxx         数とドットの記法のIPアドレス
xxx.xxx.xxx.*           ネットワーククラス C の IP アドレスのすべてをカバーする
                        ワイルドカード指定